| 田岡総研文書ファイル |
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| 「暦と乱世」 |
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三国志のプロローグはいつも「黄巾(族)の乱」である。 太平道と名のる新興宗教団体(教義の中心は古くからある道教であった)が黄色いネッカチーフを首にまいて「世直し」とばかりに中国全土で派手に暴れ回る。時は後漢末期。宮中には力が無く(十常持と呼ばれる官僚が腐敗政治をほしいままにしていた)黄巾族は勢力を拡大していった。 そこで登場するのが義勇兵。曹操も劉備も孫策もみな正義と野心を抱いて名をあげるのは皆さんご承知の通り。 ところで、話は戻るが太平道の旗揚げ式に次のような文言がある。 「蒼天(そうてん)すでに死す。黄天(こうてん)まさにたつべし。時甲子(きのえね)にして…」 蒼天とは青い天(世)であり、中限(ちゅうげん)を表す。一方、黄天とは黄色(土)の天(世)の事であり、これは下限(げげん)を表す。いったい、中限とか下限とはどのような意味なのか。また甲子(きのえね)とは。 暦(こよみ)のはなしをしよう。暦の基本単位は12種類の動物とそれぞれの動物の前に付く「きのえ」とか「ひのと」などの枕詞である。枕詞はそれぞれの動物に5種類づつある。(それぞれ、と強調するのは、全部で5種類というのではない。もっとある。しかし、その動物に付けられるものは5種類しか無いという意味) 例えば馬に付くのは5種類ある。そのうちの1つは「ひのえ(丙)」である。組み合わせて「ひのえうま」となる。 12種類の動物に、それぞれ5種類の枕詞があるので、その組み合わせは全部で12×5=60種類。これが毎年まんべんなく巡ってくる。同じ組み合わせは60年に1回しかこない。「ひのえうま」も60年に1回なのだ。暦の先頭はいつも「きのえね」である。 この60年周期が3つ組合わさると1つの時代の大きな周期になるというのが、暦の時代観である。最初の60年を上限(じょうげん)次を中限(ちゅうげん)最後を下限(げげん)と呼ぶ。上限と中限を「治世」(よく治まっている世の中)、下限を「乱世」(乱れた世の中)と呼ぶのがいにしえからの習わしである。 もうお解りのように「蒼天(そうてん)すでに死す。黄天(こうてん)まさにたつべし。時甲子(きのえね)にして…」とは、「乱世の元年だ」という意味だったのである。 先述の太平道は「乱世のスタートだ。新しい国、新しい秩序を作るために、既存の全てのものを木っ端微塵にうち砕くのは、まさに時代の要請である」とばかりに聴衆を鼓舞したのである。 実は三国時代の幕開けに限らず、年号を調べてゆくとたしかに180年周期で大きな変化がおきている。日本では「応仁の乱」「幕末」もまさにこれにあたっている。そして計算では、直近の「乱世」は昭和59年の下限甲子(げげんきのえね)に既に始まっている。 ***** 著作権表示:株式会社田岡総合研究所 田岡將好 ***** この文章をコピーしたり、配布したり、社員研修等で使っても多いに結構ですが、 著作権表示を消さずにお使い下さるようお願いします。(http://www.taoka-s.com) |