| 田岡総研文書ファイル |
|---|
| メキシコで見た太陽 |
|---|
|
メキシコのアメリカ国境に隣接する町ティファナ。ロサンゼルスのすぐ南にある、サンディエゴから40分。気軽にメキシコの雰囲気を満喫できるとあって、週末にはアメリカの若者が大挙して訪れる。アメリカより当然、物価も安い。 町はバラックのような建物が多く、飲み屋街には所狭しとバーやディスコ、レストラン、売春宿などが立ち並ぶ。埃っぽい路地にムシロをひいてガラクタを売るおじさん。呼び声にぎやかなタコスの屋台からはおいしそうな匂い。所々にホームレスの人が寝ており、その間を売春婦が2メートル間隔で立つ。酔い客が千鳥足で売春婦をからかう。若者が大きな声で何かを叫んでいる。全てがゴチャ混ぜで、全てが活気に満ちている。 メキシコの内陸部から一攫千金を夢見て出稼ぎの若者が集まる。若い娘は国境で一稼ぎする。旅行者はテキーラと共にゆきずりの出会いを楽しみ次の日には忘れる。 国境で働く人達はすさんでいる。 * * * * * 私はその日、食事代を払わずに店を出た。ずーっと歩いてから払わなかった事に気づいた。ぼんやりしていたのだ。 用事を済ませてからその店に戻った。何と言われるだろうか。ただ食いされたと怒っているだろうか。 入り口にはさっきと同じように客引きが3・4人、呼びこみを行っている。 客引きは私の顔を見てニッコリと笑う。私が食事代を払うのを忘れた旨告げるとカタコトの英語で「I know!」(知ってるよ!)と言う。払うジェスチャーをすると、ニコニコしながら中のレジを指差す。レストランに再び入り、レジに向かう。会計係りの男性に「I forgot to pay you」(お金を払うの忘れました)と言うと、男性はニッコリ笑って「I believed you should come back again!」(きっと戻ってきてくれると信じてたよ)と言った。メキシコ人独特の太陽のような明るい笑顔だ。彼も嬉しそうな顔をしているが、私の方こそ、とても嬉しくなった。 国境の町ティファナの人達がすさんでいると感じたのは私の勘違いであったようだ。 正解はこうだ。ティファナにはすさんだ人もいるし、そうでない人もいる。 我々日本人の中にも、すさんだ人とそうでない人がいるようにだ。 人は環境のみならず、その人の心の持ちようにより、いくらでも心根を変えてゆく事が出きるのだと、教えられた。私も彼のようになりたい。 2002年初夏。つい2ヶ月前の出来事だ。 ***** 著作権表示:株式会社田岡総研 田岡將好 ***** この文章をコピーしたり、配布したり、社員研修等で使っても多いに結構ですが、 著作権表示を消さずにお使い下さるようお願いします。(http://www.taoka-s.com) |